LEAP OVER REPORT

2018/08/30

【Report No.1】リサイクル化率98%を達成するイノベーション企業ISHIZAKAの挑戦

全天候型独立総合プラント


持続可能な地域社会の実現に向けイノベーションに挑み続ける産廃業者があると聞き、当社社長村林を含む有志20名で視察させて頂いた。あまり大人数でお邪魔してご迷惑にならないかと心配したが、埼玉県入間郡三芳町に所在する石坂産業株式会社には年間約2万人が視察に訪れるという。送迎バスも定期的に運行されており、親切で礼儀正しい社員の方々にお出迎えいただいた。
廃棄物は、大きく「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分類される。我々一般家庭の日常生活に伴って生じる廃棄物は「一般廃棄物」に含まれる。「産業廃棄物」とは事業活動に伴って生じた廃棄物で廃棄物処理法によって規定された金属くず、がれき類等の20種類の廃棄物と特別産業管理廃棄物を指す。石坂産業では、この産業廃棄物のうち、あえてリサイクルが困難な建築現場の混合廃棄物を積極的に受け入れているという。混合廃棄物とは、コンクリートの瓦礫や、ガラス、木片など複数の素材が混ざり合った廃棄物でリサイクルに手間がかかる。混合廃棄物のリサイクルのため、「焼却」ではなく「分別」の技術開発に取り組んできた。重さを量り、比重を調べ、風力を使って、どう飛ばせば、どう分かれていくか、一つひとつ試行錯誤しながら独自の装置を設計。いまではリサイクル化率98%という高い水準を維持していると言う。
環境省によれば、平成28年4月1日現在の国内の産業廃棄物処理場のうち中間処理施設数は18,726件 (対前年 64件増)、最終処分場数は1,803件 (対前年 24件減) で最終処分場の残存容量は16,736万m3 (対前年 131万m3減)、最終処分場の残余年数は16.6年 (対前年 0.6年増)と公表されており、同社のように「ごみにしない技術の開発」に積極的に取り組み、高いリサイクル化率を達成する産業廃棄物中間処理業者の存在は非常に重要なのだ。

出所)環境省 報道発表資料 http://www.env.go.jp/press/105349.html

 

同社のプラントは5棟からなり、各棟ごとに廃棄物の種類が分けられている。まず、①廃棄物を積んだトラックを廃棄物の種類によって入口でプラントへ誘導する。それぞれのプラントは自然環境に配慮し、太陽光発電、省エネ設備の導入、雨水循環システム、および自然光の取込みによる照明設備の電力削減等々が取り入れられている。 そのプラント内で存在感を放っていたのが②の重機だ。Co2削減のため、業界で初となる電動式油圧ショベルをメーカーと共同開発したと言う。従来のエンジン式に比べて、年間64%のCO2削減を実現している。その後、③のようにベルトコンベアに流れる廃棄物を人手で分別し、装置と人員の組み合わせで高精度な分別を実現している。

 

①産廃物を積んだトラックを種類によって誘導

 

②Co2削減のためメーカーと共同開発した業界初の電動式油圧ショベル

 

③装置の組み合わせと人員のライン選別で高精度な分別を実現
ベルトコンベアで流れてくる廃棄物の分別を人の手で行う。

 

 

環境教育フィールド「三富今昔村」


同社が注目される理由はそれだけではない。プラントを抜けると、大きな森に入った。同社では東京ドーム約4個分の里山を管理しているという。300年前江戸幕府5代目将軍徳川綱吉の側用人、柳沢吉保が、この地のやせた土壌を豊かにするため木を植え、水を生み出し、里山をつくり、三富と名づけられた土地も、いつの間にかゴミが散乱する林になっていた。三富の森を再生させるため、不法投棄されたゴミを拾うことからはじめ、2012年にはハビタット評価の認定制度であるJHEP認証“AAA”を取得し生物多様性の高い里山「くぬぎの森」として復元した。
三富今昔村では“ともに自然を守り、ともに里山の新しい価値を生み出しながら、多世代で交流し、ともに学ぶ場”として年間約30テーマ、50の教育プログラムを提供している。里山を活かした「石坂ファーム」と呼ばれる農園も運営している。農園で採れた野菜は「くぬぎの森交流プラザ」でも販売しているほか、有機栽培野菜の品質を評価してくれるホテルのレストランなどにも卸しているという。ブランドが確立し始めているのだ。

JHEP認証“AAA” の「くぬぎの森」

 

くぬぎの森アミューズメントパークとやまゆり鉄道の線路

 

石坂ファームで採れた野菜をおいしく頂きました。

 

【典子社長とのディスカッションを終え、全員で記念撮影】

 

施設見学後、石坂産業2代目の典子社長とディスカッションの時間を頂いた。
同社の取組み、今後の方向性や現状感じている課題感などについてお聞きした。持続可能な地域社会の実現に向けて1社でできることには限界がある。さまざまな企業や地域とつながり、協力することによって活動を拡げていきたいと思う。石坂産業の皆さま、どうもありがとうございました!

 

【視察概要】
日    時 2018年7月25日(水)11:00~14:00
場    所 石坂産業株式会社
       埼玉県入間郡三芳町上富緑1589-2
スケジュール 11:00~11:15  石坂産業(株)代表取締役 石坂典子 挨拶
       11:15~12:00  施設内視察
       12:00~13:00   ランチ(施設内 くぬぎの森交流プラザ)
       13:00~14:00   ディスカッション

 

 

新事業開発室 LEAP OVER責任者 杉原美智子

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